A Happy New Year!!
 
in day

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カラン

「いらっしゃいませ」
  
ガラス越しに冬の陽光が降り注ぐ店内で女性が微笑む

「明けましておめでとうございます
本年も『Clover』を宜しくお願いします」

幸運のお守りといえば四葉のクローバーであるが
この店のシンボルはハートが三つ繋がったような三つ葉のクローバー

「何かと三つがバランスがいいと、うちのオーナーが」

白いリネンに刺繍されたクローバーを見せて店主は笑う

「オーナーはアイルランドが大好きなんです」

私も好きだから文句無いんですけどね
そう言って店主は笑う

「以前アイルランドを旅して、その魅力に魅せられちゃったんです」

詩人・イエーツを初めとし著名な作家を世界に輩出する文学の国
彼らは教訓を綴る

知識しかない者たちの愚かさを
遊びを興じ過ぎた者たちの悲惨な末路を

恋にのみ生きた者たちの寂しい結末を

「『3』が良いんですよ、人生は。仕事と趣味と、そして恋」

店主の目に茶目っ気が混じる

「愉しみましょう人生を。良く学び、良く遊び、精一杯恋をする」
 
店主が大きなメニューを開けばカフェのメニューがずらりと並ぶ
珈琲にも紅茶にもそれぞれ丁寧な説明がついていて

「ゆっくり悩んで、好きなものを選んでくださいね」

言葉に甘えてゆっくり読んで今の気分に合わせてと注文する

ここにルールなどない

自分で考え抜いて出した答えならば
あなたにとって『正しい』こと

「どうぞ」

明るい声と同時に丁寧な手付きでコースターに飲み物が置かれる

礼を言えば店主は嬉しそうに微笑み
一口飲んで感想を言えばその笑みは更に深くなる

「あなたにとってこの一年が良い年になりますように」

宜しければこちらもどうぞ

そういって店主はCloverと描かれた名刺を渡した

「夜は『Shamrock』がお奨めですよ」
 

A Happy New Year
2012.1.1
naohn @ Cafe"Clover"
 
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>>  night time : Irish Pub "Shamrock"
 
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